「村付き冒険者」という設定で冒険者の日常をテーマにした作品です。
日常といっても「シュールな異常さが日常というほのぼのもの」みたいなものではなく、冒険者としての日常的な仕事をこなして過ごすという本当の意味での日常です。
村付きということで「村の便利屋」的な位置づけですが、そこはファンタジーなのでモンスター絡みの依頼も多く出ます。
この村付きという設定を大いに活かしていて、セリフやキャラクタの行動の端々で「冒険者の日常」が表されています。
主役は中堅冒険者ということですが「強くも弱くもない」というイメージではなくて、「恐ろしく強い冒険者の中の中堅」という状態であり、弱くはなく十分に強いです。
特殊な能力の秘めていますが、その強さが「冒険者的には中堅」ということなのでしょう。
この主人公[ハジメ」が突然女の子「リルイ」と暮らすことになるところから物語がはじまります。
娘を見守るような子育て系、な感じではじまるのですがリルイの種族的能力のために物語の見え方が少し変わってしまい、その点が多少気になります。
物語的にこのリルイの能力はそこまで重要とは思えないので(もちろん重要にさせる展開になるのでしょうが)、個人的にはこういう能力はなかったほうが良かったのではと思ってしまいます。
なお中世風の世界観ではありますが、場所によっては現代と変わらない風景もあるため、時代設定はかなり緩めです。
それほど派手でもなく熱い展開もありませんが、冒険者の日常というテーマに惹かれた方にはおすすめです。
『29歳独身中堅冒険者の日常』の特徴
- 冒険者の本当の日常
- 突然少女と同居
- 中堅冒険者
『29歳独身中堅冒険者の日常』の絵柄
たまにこなれてない感がありますが、全体的にはまとまっていて良い絵だと思います。
テーマ的にシリアスな場よりものんびりした場面が多いため、緩い絵柄の割合が増えます。
その緩い絵柄が少し堅いかなという印象でした。
また、動きに関してもあまり動いているような絵には見えず、動いているポーズをとっているという感じです。
テーマと絵柄はあっていますし全体的なレベルは充分だと思うので、その点は安心してお勧めできる絵です。
余談ですが、話が進むと出てくる大きなスズメが可愛いです。
『29歳独身中堅冒険者の日常』の見所
「冒険者の日常」が見所です。
「日常」を扱う作品は多いですが、大半が「異常なことが普通に起こっている日常」であり本当の日常とはいい難いものではないでしょうか。
この作品はそうではなく、ファンタジー世界の冒険者の、いつもの、普段通りの生活という意味で日常を描いています。
日常という言葉の意味が複数あるのでややこしいですが、「普通の日常」こそが見所です。
『29歳独身中堅冒険者の日常』のKindle予約情報
6巻が2018/11/9に発売されました。
『29歳独身中堅冒険者の日常』のKindle新刊既刊情報
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