異世界転生ものですが、職業が害虫害獣駆除者という変わった設定です。
異世界にそういう職業があるわけでなく昆虫型やネズミ等の小動物型の魔物を専門に狩るという感じなので、ゴブリンスレイヤーなどのタイプになります。
倒し方も少し似ていて、前世の知識で毒物を作りそれを蒔いて依頼を達成していきます。
剣や魔法でどうこうではなく殺鼠剤でまとめて倒すという点はまさに「駆除」ですね。
作中で早々にレベルが上がり能力値がチートと変わりない感じになりますが、一応理由としては「駆除した小物の死骸を森に捨て、それを食べた中型の魔物と、さらにそれを食べる大型の魔物までも毒物で倒したことになった」のだと思います。
それでも上がり過ぎですが。
主人公は多少無気力気味ながらも職人肌で、他の作品の主人公と比べても好感が持てます。が、読み進めると違和感が。
一言でいえば自分がない感じで、中身をあまり感じませんでした。状況毎に機械的に反応しているようにも見えて、いい意味でも悪い意味でも欲を感じず、かといってそれが達観や諦観からとも見えず。
対して、ヒロインらしき亜人の女性は真逆で感情的過ぎてよくわからないキャラクターです。一緒に登場した男性亜人は性格付けも分かりやすく好感が持てましたが。
一話完結でその街だけに存在するゲストキャラクターが出てくるという形式ではなく以下のような流れがあります。
- ゲストキャラクター登場
- 発端となる物語の終わりで仲間に加わる
- 違う街まで旅をして、そこで出来事が起こりゲストキャラクターと別れる
一話完結型の亜種のような印象ですが、旅を挟んでの分かれというのが思った以上にゲストキャラクターへの感情移入をさせるものだと感じられ、面白い構成だと思います。
設定や構成は面白そうなのですが、エロ関係の違和感や唐突感が気になるので今後どうなるのかがやや不安な作品です。
絵柄
崩れのないしっかりとした絵柄で、女性は可愛くキレイに描かれています。
キャラクターの動きも表現されていて構図も上手な印象です。
ギャクっぽいシーンではしっかりとデフォルメが効いており、緩急もちゃんとしています。
背景の書き込みも細かいことが多く、特に単調になりやすいパターン(積み上げたレンガなど)を見る限り妙な手抜きはありません。
木々の表現も上手く、遠近表現だけでなく場面毎に風景の描写で雰囲気を作ることもされていて実力を感じます。
エロ表現あり
主人公1人なら問題なかったのですが、女性キャラクターが出てくるとエロ表現が突然差し挟まれます。
原作準拠なのだとは思いますが、描写に手抜きをしないせいで色気シーンもそれなりにエロさがあり、そういう方面が好きな方むけの作品かと思ってしまいました。
2巻では空想の場面とはいえ結構なSEXシーンが差し挟まれていてます。
エロを求めて読むには分量がたりませんが、エロを求めていないのなら描写がしっかりし過ぎという、微妙な問題を感じます。
『駆除人』のKindle予約情報
2018/4/26に2巻が発売されました。
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